バイオコークスとしての可能性、製品原料としての可能性
バイオ炭化素材の活用可能性は農地施用に留まらず、
バイオコークスや制限品量としての活用可能性も期待されています。
バイオ炭素材は炭素を貯蔵していることに価値がある
炭化をさせることで、バイオマス資源の可能性を広げるのがバイオ炭化素材の重要な点です。
重量当たりの炭素量を増やすことが炭化工程で行われることです。
その結果、炭化前では見出せなかった活用可能性が見えていきます。
保管や運搬が容易になるという物理的なメリットだけではなく、その物性から今までにはない活用の方法が期待されています。
鉄鋼業ではバイオコークス・
加炭材として活用が期待されている
エネルギーを多く消費する鉄鋼業では、バイオ炭化素材の活用可能性に注目が集まっています。鉄鋼製造においては、鉄を溶解するための熱源として石炭コークスが利用されていますが、その代替燃料として、炭化度の高いバイオ炭素を用いることに期待が寄せられています。これらはバイオコークスと呼ばれ、求められる熱量に応じて炭化度を高め、重量当たりの炭素含有率が向上した状態で利用されます。
一方、比較的低い炭化度が求められる用途では、加炭材として用いられるケースもあります。鉄は炭素含有量に応じてその硬さが異なり、炭素量が多いほど硬くなるとされています。その炭素量を調整するための素材が加炭材であり、なかでも環境負荷が少ない選択肢として、バイオマス資源を炭化させたバイオ炭化素材(広義のバイオコークスを含む)に期待が寄せられています。


製品原料としてのバイオ炭化素材
鉄鋼業における活用方法以外にも、製品原料としての活用を期待する声が日増しに高まっています。これまでの価値観にはなかった動きとして、炭素排出量を抑制し、環境負荷の低い製品への購買意欲が世界的に高まる中、バイオマス炭化物を「低炭素製品」として市場に展開する可能性が注目されています。
実際に、高い炭化度と長期安定性が求められる炭素貯蔵型の建材(例えば、コンクリート混和材や断熱材など)への需要に加え、炭化レベルを精密に調整し、バイオマス由来の繊維質を一部残存させることで、新たな機能性を持つ製品原料(例えば、樹脂製品のフィラー材や特定の工業用素材など)として活用したいという具体的なニーズも生まれ始めています。
サーキュラーエコノミー、すなわち資源循環を前提とした製品製造が社会に浸透しつつある昨今、企業が排出する製品廃棄物(例えば、食品加工残渣、木材チップ、農業副産物など、従来は焼却や埋立処分されていたバイオマス資源)を自ら炭化させ、それを再び自社製品に添加することで、廃棄物の削減と新たな製品価値の創出を同時に実現しようとする先進的なトレンドが形成されつつあります。
鉄鋼業における還元剤としての利用など、既存の取り組みも含め、バイオマス炭化物の活用において最も重要なのは、最終製品の要求品質や用途に応じて炭化度(炭化温度や時間)を最適に調整することです。必ずしもバイオマス資源に最大限のエネルギーを投入し、可能な限り高い炭化度を目指すことだけが正しい活用方法とは限らず、用途によっては低温で処理された半炭化物の方が適しているケースも少なくありません。
また、これを事業として継続的に取り組む上では、経済的な採算性を確保することが絶対条件であり、製造される炭化物が製品として市場で受け入れられるか、コスト競争力はあるか、といった観点も極めて重要になります。
バイオ炭素循環LABでは、お客様がお持ちの様々なバイオマス資源を対象に、弊社のテストプラントを用いた炭化テストを実施し、最適な炭化条件の特定から生成物の特性評価、さらには事業化に向けた具体的な製品応用のご提案や経済性評価まで、一貫したサポートを提供しております。皆様が構想されているバイオマス資源の有効活用に関する具体的なニーズや課題について、是非お気軽にご相談いただけますと幸いです。


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