バイオマス資源を炭化させ、
炭素を貯蔵するという
価値を生み出す

バイオマスとは、化石燃料を除く「生物由来の資源」のことを指し、炭素を主体に酸素、水素、窒素などの様々な元素で構成されています。

炭化とは、有機物を無酸素、または酸素の少ない条件下で加熱することにより熱分解反応によって揮発成分を除去し、
炭素に富んだ固体物質を生成するプロセスです。

「バイオ炭」という言葉が定義されていますが、農地施用による土壌中の炭素貯留を目的とした炭化物の定義であり、
トレファクション燃料、バイオコークス、活性炭などの機能性炭化物など、バイオマスを炭化することで得られる有用な素材は、
「バイオ炭」という言葉では表現することが出来ません。

バイオ炭素循環LABでは、さらなるバイオマス炭化物の利活用を推進するため、バイオマスを炭化することで得られる様々な素材を
「バイオ炭素」として定義し、従来の枠組みに捕らわれないバイオマス炭化物の利活用を提案します。

バイオマス炭化の原理

一般的に、農地施用を想定したバイオ炭は「燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物」として定義されます。植物などのバイオマスは、成長過程で取り込んだ様々な原子が結合し、複雑な組織を構成しています。この350℃という温度は、これらの有機化合物が熱分解を開始する重要な指標とされています。

バイオマスを構成する主要元素の中で、炭素(C)は極めて熱に強く、気化するためには約3500℃という非常に高い温度が必要です。そのため、一般的な炭化プロセスで用いられる350℃超の温度域では、炭素は分解されずに固体として残存します。これが、バイオマスから炭素に富んだ固形物を得る基本的な原理です。

しかし、「炭化」というプロセス自体は、目的や条件によって多様な側面を持ちます。

「炭化」の本質

  • 炭化とは、有機物から炭素以外の成分(水素、酸素、窒素など)を熱分解によってガスや液体として除去し、炭素の含有率を高めていくプロセスです。
  • 酸素管理の重要性

このプロセスで決定的に重要なのは、「酸素がない、あるいは極めて少ない状態」を維持することです。十分な酸素が存在すると、熱分解ではなく「燃焼」が発生。燃焼すると、炭素は酸素と反応し、二酸化炭素(CO₂)や一酸化炭素(CO)として気化・放出されるため、後には灰分しか残らず、炭素を固体として固定化することは出来ません。

このように、炭化は燃焼とは明確に区別される、制御された熱化学的プロセスなのです。さらに、「バイオ炭素」と一言で言っても、その製造条件や利用目的によって様々な種類が存在します。

  • 土壌炭素貯留用バイオ炭
    土壌改良材など、長期的な炭素貯留効果や土壌の物理化学的性質の改善を目的とする場合、比較的高温で処理し、難分解性炭素量が多いものが求められます。
    日本バイオ炭普及会の定義では、難分解性炭素:揮発成分の比が、1:0.6以下のものが、土壌炭素貯留用バイオ炭として定義されています。
  • 半炭化(トレファクション)
    バイオマス燃料としての発熱量、保存性、粉砕性などを向上する目的で、比較的低い温度域(200~300℃程度)で炭化プロセスを部分的に行い、不燃性分のみを除去し、揮発分を適度に残した固形燃料(トレファクション燃料)を製造します。
  • 機能性炭化物
    活性炭の様に特定の物質を吸着する様な多孔質構造にする、特定の成分を意図的に残存させるなど、温度や昇温速度、雰囲気を精密に制御して機能性を持った炭化物を製造します。

すなわち、「炭化」とは、バイオマスに投入する熱エネルギーや反応環境をコントロールすることで、目的に応じた様々な特性を持つ炭素主体の素材を創り出すための基盤技術であると言えます。

私たちバイオ炭素循環LABでは、まさにこの「炭化」プロセスが持つ無限の可能性に着目しています。多様なバイオマス資源を原料として、単なる燃料や土壌改良材にとどまらない、高機能なバイオ炭化素材を創り出すための製造技術開発、そして、それらを活用した革新的なソリューションの創出、その双方に挑戦し、持続可能な社会への貢献を目指しています。

バイオマス炭化の原理

一般的に、農地施用を想定したバイオ炭は「燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物」として定義されます。植物などのバイオマスは、成長過程で取り込んだ様々な原子が結合し、複雑な組織を構成しています。この350℃という温度は、これらの有機化合物が熱分解を開始する重要な指標とされています。

バイオマスを構成する主要元素の中で、炭素(C)は極めて熱に強く、炭素のみを気化するためには約3500℃という非常に高い温度が必要です。そのため、一般的な炭化プロセスで用いられる350℃超の温度域では、炭素は分解されずに固体として残存します。これが、バイオマスから炭素に富んだ固形物を得る基本的な原理です。
しかし、「炭化」というプロセス自体は、目的や条件によって多様な側面を持ちます。

「炭化」の本質

  • 炭化とは、有機物から炭素以外の成分(水素、酸素、窒素など)を熱分解によってガスや液体として除去し、炭素の含有率を高めていくプロセスです。
  • 酸素管理の重要性

このプロセスで決定的に重要なのは、「酸素がない、あるいは極めて少ない状態」を維持することです。十分な酸素が存在すると、熱分解ではなく「燃焼」が発生。燃焼すると、炭素は酸素と反応し、二酸化炭素(CO₂)や一酸化炭素(CO)として気化・放出されるため、後には灰分しか残らず、炭素を固体として固定化することは出来ません。このように、炭化は燃焼とは明確に区別される、制御された熱化学的プロセスなのです。さらに、「バイオ炭素」と一言で言っても、その製造条件や利用目的によって様々な種類が存在します。


  • 土壌炭素貯留用バイオ炭
    土壌改良材など、長期的な炭素貯留効果や土壌の物理化学的性質の改善を目的とする場合、比較的高温で処理し、難分解性炭素量が多いものが求められます。
    日本バイオ炭普及会の定義では、難分解性炭素:揮発成分の比が、1:0.6以下のものが、土壌炭素貯留用バイオ炭として定義されています。
     
  • 半炭化(トレファクション)
    バイオマス燃料としての発熱量、保存性、粉砕性などを向上する目的で、比較的低い温度域(200~300℃程度)で炭化プロセスを部分的に行い、不燃性分のみを除去し、揮発分を適度に残した固形燃料(トレファクション燃料)を製造します。
     
  • 機能性炭化物
    活性炭の様に特定の物質を吸着する様な多孔質構造にする、特定の成分を意図的に残存させるなど、温度や昇温速度、雰囲気を精密に制御して機能性を持った炭化物を製造します。

すなわち、「炭化」とは、バイオマスに投入する熱エネルギーや反応環境をコントロールすることで、目的に応じた様々な特性を持つ炭素主体の素材を創り出すための基盤技術であると言えます。

私たちバイオ炭素循環LABでは、まさにこの「炭化」プロセスが持つ無限の可能性に着目しています。多様なバイオマス資源を原料として、単なる燃料や土壌改良材にとどまらない、高機能なバイオ炭化素材を創り出すための製造技術開発、そして、それらを活用した革新的なソリューションの創出、その双方に挑戦し、持続可能な社会への貢献を目指しています。

様々な製造方法

炭化方法も様々な方法があります。
製造にあたっては自社の希望条件に合わせて製造装置を決定していくことが求められます。

投入方式による違い:バッチ式・連続式

バイオ炭製造において、炭化対象物の投入方法には「バッチ式」と「連続式」の2種類があります。
どちらが適しているかは、炭化対象物の発生状況によって異なります。一度に大量に発生する場合は、バッチ式が妥当です。出し入れの手間はかかりますが、必要な量に応じて効率的に炭化できます。

一方、断続的に発生する場合には、連続式の装置を使用することで対応が可能です。発生場所から搬送装置(例:ベルトコンベヤ)を利用すれば、投入の手間を軽減できます。

熱源の得方:燃焼機構の有無

炭化プロセスでは、「無酸素状態を保つこと」と「持続的に熱を加えること」が重要です。多くの装置は燃焼機構を備えており、熱源として機能しますが、燃焼機構を持つ場合は、消防法・大気汚染防止法・建築基準法などの規制やダイオキシン対策などの対応が求められます。一方、燃焼機構を持たない方式として「過熱水蒸気方式」があります。既設の蒸気ボイラーの余剰蒸気や電気式ボイラーから発生した蒸気を過熱水蒸気に変え、炭化対象物に加熱することで、無酸素・高温状態を実現し、炭化反応を促進します。

いずれの方式も、燃料や電気の単価に大きく影響されるため、エネルギー価格が高騰する現在では採算性が低下する傾向にあります。ただし、余剰エネルギーを保有する事業者であれば、それを活用することで採算性の高い炭化が可能となる場合もあります。

その他の炭化方法:化学分解・低温炭化

その他の特殊な炭化方法として、粉末触媒を加えて低温で炭化を促進する「化学分解方式」や、熱と磁力を組み合わせて空気中の水分子の配列を変化させる方法なども、炭化装置メーカーによって展開されています。

選定の考え方

これら各方式にはそれぞれの利点と課題がありますが、最終的には、事業者の炭化対象物の発生状況や活用方法に合わせて選定することが重要です。

バイオ炭化素材
活用方法

これまで、バイオ炭化素材の主な用途として取り上げられてきたのは、農地への施用でした。しかし近年では、それ以外の用途にも活用の可能性が模索されています。

実際に私たちがご相談を受ける中でも、バイオコークスとしての利用、建材への応用、製品原料としての活用、さらには廃棄物の削減・減容といった多様なニーズが寄せられています。

確実に、バイオ炭素を用いた新たな付加価値を追求する動きが出てきているといえるでしょう。

他にも多数の事例をご紹介しています、
気になることはお気軽にご相談ください